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新 刊

 東坂吾朗は田舎の地方自治体の一官吏である。太平洋戦争時代はまだ子供で、その実感はない。小さな片田舎の三男坊で、五人兄弟、姉妹の中で育った。(長兄は戦死。)終戦後のドタバタ時代、持ち前の利発さで、村長にかわいがられた。
 ある時、村長を尋ねてきた一人の青年に魅了され、この男に終身ついて行く決心をする。
 この青年が代議士となり、吾朗も地元の自治体へと、足を踏み出して行く序章。

Books

ツチノコ
平凡なサラリーマン奈良武史には大学時代からの親友木田一がいる。互いに切磋琢磨して歩む人生行路における友なのだが、今ひとつ莫逆の友になり得ない。彼のいう伝説上のツチノコとは何なのか…。彼の秘された過去と現在の友情の接点は…。(新風舎文庫)

小さなホテルの物語
小さな田舎町の小さなホテル―そこは様々な人生が交錯する場所だった。気忙しいビジネスマンやワケあり気な家族連れ。アバンチュールを楽しむ男女、浮かれた酔客…それぞれがそれぞれに抱え持った機微。そしてそれらと出会い、見送ってきたフロント・クラーク。冷や汗モノのトラブルも、心温まる交流も、すべてを大切な邂逅として。『ツチノコ』に続く源慎の新風舎文庫第二弾。鋭い観察眼で「人の素顔」を浮き彫りにした短編集。(新風舎文庫)

複合の絆
先祖とは、親子とは、家族とは、兄弟とは、自分の仕事とは……。一人の男性が不可思議な光景に遭遇したことから、さまざまな出会いが織り成す〝絆〟の意味を知る。
根本勇は横浜郊外から東京都心に通う平凡なサラリーマン重役。二世帯住宅を構え何不自由なく暮らしているが、どこか日常に物足りなさを感じていた。
そんな折、「田舎の母が危篤」という報が届く。勇は故郷に帰るべく深夜の貨車に潜り込んだ。やがて勇の前に、思い出の中の懐かしい顔ぶれが当時の姿のままで現れる。(新風舎文庫)

したたかなやつ
東坂吾朗は田舎の地方自治体の一官吏である。太平洋戦争時代はまだ子供で、その実感はない。小さな片田舎の三男坊で、五人兄弟、姉妹の中で育った。(長兄は戦死。)終戦後のドタバタ時代、持ち前の利発さで、村長にかわいがられた。
ある時、村長を尋ねてきた一人の青年に魅了され、この男に終身ついて行く決心をする。
この青年が代議士となり、吾朗も地元の自治体へと、足を踏み出して行く序章。(モルフプランニング)

Profile

源 愼 (げんしん)
1943年生まれ。島根県出身。大学卒業後、東京で15年間サラリーマン生活を送る。地元にUターンしてからは、ホテルマンとして20年勤務した。

Interview

源愼さんは、津和野町にお住まいです。最新作「したたかな やつ」の発刊にあたって、幼少の頃の話や小説ついて、思いを語っていただきました。

(聞き手:モルフプランニング)

Q 作家として小説を書くきっかけになったことはありますか?


A 小学3年の頃から、本を読むのが好きになりました。友達の家に蔵書がたくさんあって、上りこんでは彼を差しおいて読書にふけり、周りが暗くなるまで夢中でした。その頃から、戦争で親を亡くした子どもを主人公にした鉄道線路の物語などを作って紙芝居をして遊んでいました。

Q 小説の内容の元になったモチーフがありますか?


A 読書による知識の中で育まれたものが元になっていますが、それ以上に様々な体験したことも加えています。

Q 「ツチノコ」の題名の意図


A 私の母は広島県の山間部出身です。その実家の父母(私にとっては祖父母)にいろいろな話を聞いて、その存在を知り、題材にしました。
 ツチノコという、インパクトのある響きも気に入りました。

Q 主人公のキャラクターの設定は?


A 私の周囲にはたくさんの知人・友人がいます。人に恵まれたと言えると思います。中にはとても個性的な人間もいて、その仲間達のいいとこどりです。

Q 「小さなホテルの物語」は、ご自身の体験から得られた内容ですか?


A 私は大学卒業後しばらくそのまま東京で就職し、広告代理店に勤務していました。その後故郷に戻り、当時としては珍しい地元のホテルに勤めることになりました。その時の人々との邂逅をヒントにした短編集です。様々な人生がおりなす場所としてのホテル、フロント・クラークとして人々を見送ってきたから描けた物語です。すべてお話しできないものもありますが。(笑)

Q 原爆が落ちた時、広島にいたそうですが?


A 私はまだ2歳の幼児でした。当時父が国鉄職員であったため、広島駅の近く(爆心地から2、3キロ)に住んでいました。その時たまたま、母と共に母の実家に疎開していたそうです。母と共に広島市内にいた父を探して住所地周辺を探しまわり、ガラスの破片で外傷をおっていたようです。父は原爆の投下直後に家の中にいて倒れた家具にあたり、気を失って外に出ずにいたので、被爆による怪我が酷くなくてすんだそうです。私も父も運が良かったのかもしれません。
 原爆の記憶というか、思い出は何もありませんが、母が生前よく話していた原爆のキノコ雲の話は、今も私の眼前に浮かびます。それを機に私は、父の実家(島根の山奥)に移り住み、片田舎で育ちました。

Q 男女の機微は?


A 私は片田舎育ちのため、あいにく男女の機微は判りません。(笑)高校卒業後、東京に出ていろいろな人と接するなか、様々な経験や、辛苦をなめてきました。

Q 未来を担う子供達へ、メッセージをきかせてください。


A 友を出来るだけたくさんつくりなさい。その中で、自分を作るのです。

Q 次回作は?


A 次回作はすでに書き終えております。主人公が難題にぶつかりながら生きていく様子を描いています。この「したたかな やつ」はこの後どこまで書けるか判りませんが、私の足跡として航跡として、残したいと思っています。寿命が続くかぎり……。

新 刊

 東坂吾朗は田舎の地方自治体の一官吏である。太平洋戦争時代はまだ子供で、その実感はない。小さな片田舎の三男坊で、五人兄弟、姉妹の中で育った。(長兄は戦死。)終戦後のドタバタ時代、持ち前の利発さで、村長にかわいがられた。
 ある時、村長を尋ねてきた一人の青年に魅了され、この男に終身ついて行く決心をする。
 この青年が代議士となり、吾朗も地元の自治体へと、足を踏み出して行く序章。